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◇主要参考文献◇
呉士鑑・劉承幹『晋書斠注』（中華書局、2009年）
秦錫田『補晋宗室王侯表』（『二十五史補編』所収）
安田二郎「西晋武帝好色攷」（同氏『六朝政治史の研究』京都大学学術出版会、2003年）
竹園卓夫「晋朝における封爵継紹に関する一考察」（『東北大学東洋史論集』第9輯、2003年）
堂薗淑子・大平幸代「魏晋南北朝四氏世系表（上）――河内温司馬氏・陳郡陽夏謝氏」（『六朝学術学会報』第5集、2004年）
司馬氏主要王家の一覧系図
皇統、東晋末まで存続した王家、および私の判断でピックアップした主要な王（八王など）をひとまとめに収載した系図。
◇補注◇
▼他家の者が継ぐケース 系図では点線で表現したが、他王家の者が後継者となって爵位を継ぐケースが頻繁にみられる。越智重明氏、竹園卓夫氏、岡部毅史氏らが指摘しているように、西晋時代では爵位の継承者は子にかぎられず、兄弟の世代でも継ぐようになっていた。ただし、後継者の選定にあたって輩行は意識されており、礼制的には「輩行を同じくする兄弟は継承する関係にない」ため、「弟が兄を継ぐ場合であっても、あくまでも形式的には昭穆を異にする父を継ぐという礼制上の建前がとられる」（岡部「西晋皇太弟初探」、『東方学』第129輯、2015年、41頁）。本系図はこの点を考慮して爵位の継承関係を図示した。また他家から後継者を立てるのはおおむね王の薨去後のことであり、生前に養子を迎えるといったような例はまず存在しない。他家を継いだからといって生家との関係がなくなるわけではなく、たとえば淮南王の允がクーデターに敗れて殺されたときは、他家を継いでいた子も同時に殺されたりしている。生家であろうと他家であろうと、先王を継承するというのは「王国の先王祭祀を主宰する立場を継承する」ということであり、こうした観点からすれば、爵位とは祭祀主宰者の身分を表示するものでもある。断絶した封爵に後継者を立てて復活させるときに「祭祀を継がせる」としばしば史料に記されているのはこのためである。越智「五等爵制」（同氏『魏晋南朝の政治と社会』吉川弘文館、1963年）、竹園「晋朝における封爵継紹に関する一考察」、岡部「西晋皇太弟初探」を参照。
▼恵帝の後嗣問題 遹（愍懐太子）が皇太子から廃されて以後、恵帝の後継者は頻繁に変転し、安定しなかった。西晋末はさまざまな問題をめぐって宗室らが対立していたが、恵帝の後嗣問題もそのひとつで、恵帝の後継者に誰（あるいはどの世代）を立てるかという点でも諸派閥は対立していた。三田辰彦「西晋後期の皇位継承問題」（『集刊東洋学』第99号、2008年）、岡部「西晋皇太弟初探」、小池直子「西晋恵帝期における皇太弟冊立と羊皇后」（『集刊東方学』第116号、2017年）を参照。
▼懐帝と予章王 懐帝は皇太弟に立てられる前は予章王であったが、即位後、甥にあたる銓を予章王に封じた。ほどなく銓を皇太子に立てると、さらに銓の弟の端を予章王に封じた。これについて三田辰彦氏は、銓らを「予章王に就かせることで懐帝の「子」と見なし」、「皇帝家の母体」となるような「擬似「予章王家」」を創出するためであったと論じている。三田「西晋後期の皇位継承問題」52頁。
▼東晋の皇統と琅邪王 系図からうかがえるように、東晋時代は琅邪王から帝位についた皇帝が多数存在する。東晋時代の琅邪王家にかんしては三田辰彦氏に専論があるが、氏が明らかにしているように、東晋の琅邪王は皇帝または皇太子の弟が就く傾向があった。東晋は兄弟で分担して皇統と琅邪王統とを継ぐ体制だったのであり、さらに琅邪王家は皇統が絶えたときの補充要員としての役割もあったという。三田「東晋の琅邪王と皇位継承」（『集刊東洋学』第96号、2006年）を参照。
▼北方の政権に出奔した司馬氏 魏収『魏書』巻37には司馬楚之、司馬叔璠ら、北魏に仕えた司馬氏がまとめて立伝されている。彼らは東晋末の政争により南燕や後秦に一時的に逃れ、ついで北魏にいきついた者たちである。亡命までの経過や北朝政界での地位については堀内淳一「司馬氏の帰郷」（同氏『北朝社会における南朝文化の受容』東方書店、2018年）が詳しい。
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